何においても予想外の事態は起こりうるということを、常に念頭に置いておくことが常套となっているのだが、その起こりう
る予想外の事態の対象が自身の感情であったりするともうお手上げするしかない訳だ。
2人掛けの大きなソファにうつ伏せに寝転がってぼんやりと眺めている譜面に踊る旋律が、なかなか頭の中に入ってきてくれ
なくて困っている。
(こんな理由が元でこんな事態なんてのは希有だ)
(予想外、に、)
寂しい。そんな馬鹿な!オレってこんなに女々しい奴だっけ?好きな女と離れて寂しい、なんて、ちょっと昔の自分からは考
えられない。(いや、そもそもああいった類、所謂変態に惹かれ、更にそれを認めているという時点において、既に自分は大
きなミステイクを犯しているのではないかと思うことも未だにあるのだけれど、それはまあこの際別にして。)
とにかく、このオレが音楽が手につかない状態なのだから、よっぽどだということに違いはない。
「あー…、」
もう寝よう。うん、そうしよう。本当は今日中にこの譜面を全部チェックしたかったんだけど、仕方ない。
部屋の電気を消してベッドの中に滑り込んだ。現在、午後11時53分。時計を一瞥してから、目を閉じた。
あと9時間で、あいつに会える。
そうしてみえてくるもの